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レールから外れた人へ

USJをV字回復に導いた森岡毅さんの葛藤。成功するためにはサイコパスでないといけないのか?

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2017年1月末に、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下、USJ)をV字回復に導いた森岡毅さんが、6年におよぶ冒険をやり遂げました。

ハリポタ仕掛けた森岡毅執行役員が退社へ USJ“V字回復”の立役者(1/2ページ) - 産経WEST

 

USJではなく、森岡毅さんの一ファンとして、

「格好よすぎる・・・」

これがぼくの感想です。

 

森岡毅さんの格好よさはマーケッターにとっての神の名著『確率思考の戦略論』を読んでいないと、なかなかわからないかもしれません。

 

マーケッターだけではなく、個人事業主や経営者の人にも深い学びが多々あると思うので、ぜひ読んでみてください。


今回は、森岡毅さんのような勇敢な実行者が誤解され、『映画だけのパークファン』から厳しい批判にさらされてきた現実を少しでも知ってほしく、前掲書の中で森岡毅さんが語ったサイコパスをめぐる葛藤を、紹介します。

(本文中の引用はすべて「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」からの引用です)

 

 

村田マリ氏はサイコパス?サイコパスの特性とは?

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昨今、ウソ医療情報をきっかけに、他メディアからのパクリ記事量産体制が批判されてキュレーションメディア()の閉鎖に追い込まれたDeNAのWELQ問題で、担当役員の村田マリ氏がサイコパスだと話題になりました。

 

サイコパスは、

「倫理観や人間的感情がなく、犯罪行為も厭わない」

といった意味で、語られることが多いです。

 

その一方で、

「有能な経営者に多い」

という指摘もあります。

 

サイコパス性とは、感情的葛藤や人間関係のしがらみなどに迷うことなく、目的にたいして純粋に正しい行動をとれる性質のことだと。(中略)

刑務所の中にいる凶悪なサイコパスと、非常によく似たサイコパス性(除く暴力性)を持つ人々が、大企業の重役に非常に多いというのです。研究者はまた、サイコパス性を持つ人が多く見られる職業として、会社の重役の他にも、CEO(最高経営責任者)、外科医や弁護士、ジャーナリストなどを挙げていました。(中略)

辛いけれども正しい意志決定(タフコール)を行わなければならないとき、感情は多くの場合において邪魔にしかなりません。だから感情が正しい意志決定の邪魔にならないサイコパスは、意志決定の局面で有利です。

 

先に紹介した森岡毅さんの著書を読み進めている際、それまで展開されていた「数学的にどのような戦略が正しいのか?」といった議論から逸脱した、サイコパスの話は長く感じました。

 

ぼくは読みながら、

「どうしてここまで念入りにサイコパスの話をするんだろう?」

と疑問に感じつつも、戦略を成功に導くためには、正しい意志決定が絶対的に必要という数学的な説明を読んで、納得がいきました。

 

正しい意思決定の際に、感情は不要です(むしろ邪魔になります)。

サイコパスは、その正しい意思決定を下す能力が高いというわけです。

 

しかし、サイコパスをめぐる議論はそこで終わらず、さらに続きました。

 

サイコパスではなくとも、正しい意思決定はできるか?

ヘンリー8世やアドルフ・ヒトラーを筆頭に多くのリーダーはサイコパス性の高さが確認されました。多くの人が真正のサイコパスではないかと思うマーガレット・サッチャーについて、(中略)サイコパスではないとのことです。(中略)

彼女は強い意志と訓練によって、決断の際には自分の豊かな感情を押し殺していた。情緒を排した正しい意志決定をすべく、卓越した努力を重ねて、「鉄の女」の異名を持つほどのリーダーに成長していったのです。

これは希望です。サイコパスでなくても、正しい意思決定ができる人間にはなれるということです。

 

成功者には正しい意思決定が得意なサイコパスが多いわけですが、真正のサイコパスでなくても、成功するために必要な「正しい意志決定」ができる人間になることはできます。

 

つまり、最初にすべきは正しいことを見極めること。目的にとって何が正しいのか、「目的を達成する確率が最も高い戦略は何か?」ということを、どれだけ客観的に見極められるのかが最初で最大のカギとなります。一見すると偶然に思えるようなビジネスの様々な「現象」の中から、「本質」を、つまり勝つための法則を見つけ出す技術が必要になります。(中略)

私の場合は、そのために確率思考を使います。(中略)「数字に熱を込めろ」の「数字」とは、情緒を排した成功確率の高い戦略のことを言いしています。

 

以上、長々と引用してきましたが、すべてはこのあとの引用を理解してほしかったからです。

 

森岡毅さんのサイコパスをめぐる葛藤

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なぜ森岡毅さんは確率思考の有用性をここまで強調するのでしょうか?

そして、なぜ森岡毅さんには「確率思考」が必要だったのでしょうか?

 

誰が反対しようとも、誰が泣こうとも、どれだけ私が組織で孤立しようとも、どれだけ露骨に嫌な顔をされようとも、私の自宅に何十通もの熱狂的「映画だけのパークファン」から苦情や陳情が寄せられようとも、どれだけネット上であることないことを書かれようとも……。目的にたいして純粋に正しい道を選ばないといけなかったのです。だからそれを選んで歩いた!

 

痛くなかったか? 辛くなかったか? よく聞かれますが、きついに決まっているでしょう(笑)。あまりにも痛かったので、私は「人に好かれようなんてこれっぽっちも思わない」という鎧を着ることに決めたのです。それでも「心」はどうしても反応してしまうものです。USJに来てから毎冬のように血尿生活でした。悔しさで眠れずに、夜中に車で山の上に行って社内で絶叫したことも何度もありました。悪夢で目が覚めて眠れない時は、日本刀を眺めては自分の弱さと闘っていました。私はサイコパスではないのです。昔から『フランダースの犬』を何度も見ては号泣し、今でもミュージカル『レ・ミゼラブル』の曲を1フレーズ聴くだけで涙腺崩壊するような人間です。決して、特別に頑丈なわけでも、何も感じないわけでもありません。自分の心の中で暴れる激烈な感情といつも戦っています。だからとっても痛い!(中略)

 

全体の方向性を大きく変える時には、とりわけ激しい痛みを覚悟しなくてはならないのです。しかし、その痛みを自分で背負うことができない人は、より大切な目的のために、大切な別の何かを切り捨てることができません。だから結局は何も変えることができないのです。

 

この苦悩を知って、ぼくは森岡毅さんの大ファンになってしまいました。

他人任せの人生を生きていると、リーダーの痛みも知らず、批判するだけの野党的な人間になってしまいがちです。

 

正しい意思決定には痛みが伴うことが多いです。

そして、正しい意思決定をする人間には、感情がないと思ってしまうことも多いです。

 

しかし、森岡毅さんはこうも人間的で、誰よりも感情豊かだからこそ、数学という客観的なものさしを使って、非人間的に正しい意思決定ができる強さをもつ必要がありました。

 

ヒトが感情と距離を置くための手段としての、確立思考の戦略論です。

 

リーダーの痛みを想像できる人になろう!

日本には人を率いていくタイプのリーダーが少ないと言われがちです。

 

ぼくは日本は経済的に豊かになったことで、人を率いるより、人といざこざを起こさないことがリーダーに求められていたため、結果として、リスクをとらないリーダーが多いのではないかと想像しています。

 

しかし、日本の経済的な繁栄ももう終わりです。

 

新たな繁栄を獲得するためには、明治維新や戦後復興のときのように再び、リスクをとる(痛みを引き受ける)正しい意思決定をしていかなければなりません。

 

日本が抱えている問題の深刻さは、リーダーを支える立場の人たちが無自覚にリーダーを批判しているところに現れているように思います。

 

リーダーが仕事をつくらなければ、支える立場の人たちの仕事はありません。

しかし、それを知ってか知らずか、支える立場の人たちが「支えてやっている俺たちのほうが偉い」という主客転倒している現場をしばしば見てきました。(リーダーのほうが偉いと言っているわけではありません。ただ、現実を理解していない無自覚な批判者の多さに呆れてしまっているだけです)

 

森岡毅さんが大きな批判にされされてきたのは、USJを徹底的に値上げしてきたからです。しかし、値上げにも当然わけがあります。

 

そのために理解しなければいけないことが「経済」です。

ぼくらの生活を底から支えているのは、何より「経済」の仕組みなのです。

 

プレミアムプライスの意味を理解するためにも、ぜひ一度ご一読ください。